ガイドの仕事の魅力とは?
私は十五年間高校の英語科非常勤講師として働いてきました。教師の仕事はきついけれどもとても充実した仕事でした。英語の教師は毎週2回英語を母語とする講師とチームティーチングの授業を行います。生徒の多くはこのT-Tの授業をとても楽しみにしていました。特に女子生徒は「トム・クルーズ(に似た講師)が来る!」とか「もうすぐヒュージャックマン(のような先生)に会える」と興奮しておりました。2017年から、私は全国通訳案内士として働くようになりました。幸運にも世界各国から様々なお客様とお会いできる多くの素晴らしい機会を持つことができました。そしてこれらの出会いが、ちょうどトム・クルーズやヒュー・ジャックマンが生徒の英語学習の動機付けになったように、私の通訳ガイドとしてのモチベーションをさらにアップしてくれたのです。
広島という名前は核爆弾を連想させると思います。
私のツアーでも、広島に来る多くの訪日外国人が「広島はまだ残留放射能があるのか?」と聞かれます。その答えは「NO.」です。人間にも環境にも有害な放射性物質は広島にはありません。ひょっとしたら広島で薄毛の人をよく見かけるかもしれませんが、それは放射能の影響ではなく加齢によるものです。
私はお客様に安心して広島を楽しんでいただけるように、3つのことを心がけています。
1,柔軟に考える事。
仕事の経験を通して、ツアーはガイドが期待するように運ばないものだとしみじみ感じています。例えば、あるツアーで、ゲストの方が、広島発の帰りの新幹線の切符が予定していた時刻より早い切符しか取れなくなって、その結果、宮島と平和公園を7時間で回る予定が5時間で回らなくてはいけなくなりました。ツアーを効率よくするために、お好み焼きテイクアウトでオーダーしたり(お好み焼も食べたいと望まれたので)、近道にルートを変えたり、いろいろな方法を使って、何とか5時間で無事広島駅に帰れた時は、全員で「やったぞ」と喜び合いました。大事なのは、ガイドがお客様のために精一杯の努力をすることだと思います。
2,冗談を言ってお客様にリラックスしてもらう事。
私は冗談を言いながらガイドすることが好きです。小さいころ関西の漫才師になりたかったので。私の冗談に多くのお客様が冗談で返してくださることはとても愉快な経験です。しかし中にはどう返答してよいか分からない時もあります。例えば、バスツアーの最後で、私が乗客の皆さんに「車内に忘れ物をしないよう気を付けてください。でももし大事なものを忘れても、あなたの代わりに私がちゃんとその面倒をみますから大丈夫」と冗談を言ったら、一人の男性客が「じゃあ、僕の妻の世話をしてくれないか?」と返答してきました。もしもし、あなた、奥さんは物ではありませんよ。
3,本当の広島の姿を見てもらう事。
どの文化にも良い面と悪い面があります。私は広島へ来られたお客様に広島のありのままの姿を見てもらいたいと思います。ですから、お客さんを地域の穴場にお連れして地域社会に根付いた広島人の暮らしやその文化を知ってもらいたいのです。「ヒロシマ人の性格ってどうですか?」と聞かれても簡単に答えることは難しいです。私のツアーを通して自分なりにその答えを感じていただければと思っています。
お客様に一期一会の広島ツアーを楽しんでいただけるよう心がけています